片親家庭で育つということ
まず、片親にも2種類あると思っている。
それは皆さんが想像する、「母子家庭か父子家庭か」、ではなく「(親の)実家が太いか、細いか」である。
僕自身の家庭の話をすると、間違いなく(親の)実家が太かった。経済的に苦労した思い出など全く無く、高校時代には塾にも行かしてくれたし、今だって親の金で大学に通わせてもらいながら、加えて、一人暮らしもさせてもらっている。バイトだって別にそんなにしなくていいと言ってもらってるし、自分の夢も応援してもらっている。経済的に文句は全くない。
……「じゃあ、いいじゃん」
そんな声が聞こえてきそうだが、やっぱり幼少期、思春期は節々に疎外感を感じることが多かった。はっきり言って、辛かった。
物心ついた頃、まず最初に違和感を感じたのは「テレビ」での描写である。母親がいて、父親(その時は、父親という存在がいることも知らなかった)がいて、子どもがいて、ありきたりな家庭の描写をなにかのドラマで見たときに、違和感を感じた。そのときは、まあテレビだから、とあんまり気にしていなかったのかもしれない。
小学校の入学式、今でも鮮明に覚えている。その日は雨だった。実はこの入学前に家を引越している関係でその地域の保育園・幼稚園の持ち上がりで既に出来上がってる人間関係の中にたった一人放り出された。今考えると、人見知りの自分にはかなりストレスだったかもしれない。だけど、そんなことはあまり気にすることでもなかった。そんなこと、どうでもよくなるくらいの衝撃を、その瞬間、受けたのだから。
…みんな2人いる。
ああ、俺はなんか周りとは違うんだなと、この頃から意識し出したのかもしれない。
自分で言うのもなんだが、自分は割と察しのいい子だった。いや、察しがいい子だと思い込んでいたのかもしれない。まあどちらでもいいが、とにかく「普通の家庭」とはどういうものか、というのをクラスメイトとの話から察知しながら、リサーチしていった。そして、なんとなく話を合わせていくようになった。そういう学校生活がこの頃から始まった。
といっても、普段の学校生活で、家族の話が出ることはあまり多くないのであまり意識しなかった。だが、強く意識させられたのは「子ども会」だった。(「子ども会」という存在を皆さんが知っていることで話を進めるが、簡単に言えば地域の祭りやイベントの度に集まったり、集団登校、集団下校での一つの単位にもなったりするものである。)
度々ある「子ども会」での祭りやイベントで家族同士でワイワイしてる集団の中に、俺の家族は居なかった。
それも今思えば、当然だ。
「家族」じゃないのだから。
ああ、避けられてるんだな、俺の家族、と思った。学校では話を合わせていたけど、陰では、「あいつ、なんか話、合わせてるぜw」と思われてたんだろうな、と思った。
もう、どうでもよくなった。
みんな、知ってるのに、気を遣って家族の話題にかたくなに触れない。そんな腫れ物扱いされたら普通どうでもよくなるだろう?
なあ、うん、と言ってくれよ。
自分らしく生きたい、と馬鹿がよく言うが、幼少期なんて、何かのコミュニティに属していると、そいつには親同士の繋がりがあるんだから、色眼鏡かけずに「自分らしさ」だけを見てくれるヤツなんていないだろう。
というわけで、周りがみてた俺の姿は、
「片親家庭の〇〇くん」であったんだろう。
何か事件が起きると、「あの子は片親だからしょうがない」「片親だと大変だよね」
いいから、俺を見ろよ。俺を。
小3のころ、地元のサッカークラブに入った。地元でスポーツクラブをやってると、勿論、親同士の繋がりがある。なにか親同士の集まりでバーベキューなどをするという話があったときに、俺の親が呼ばれることはなかった。
後々、話を聞いたら「あそこは大変だから」とやっぱり気を遣われていたらしい。
そのクラブも小6までやったが、中学校でサッカー部に入ることはなかった。また同じ思いをしたくなかったから。
それから、どんどん内気になっていって、もう周りに家庭のことを話すのもやめた。話してもいいことなんか一つもないから。本当に親しい相手にはたまに話したりするけど、努めて、できるだけ家族の話題になったら話題を変えるようにはしている。嘘は付きたくないからね。
なんやかんや、のらりくらり、18年生きてきた。いつまでこんな生活が続くんだろうとふと思う。もし、恋人が出来たら、俺は一体どのタイミングで片親であることを言い出すべきなんだろう。分からない。
片親の子どもは、片親になりやすい、とよく聞く。一回経験すると、離婚することに躊躇しなくなるんだろう。だけど、俺は絶対離婚したくないし、何か喧嘩したら、俺が悪くなかろうと絶対に俺から頭を下げると心に決めている。俺なんかを選んでくれた子のためならなんでもしたい。絶対に別れたくないから。
別に笑いたきゃ笑ってくれてもいいが、
俺は、俺を見てくれる人と結婚したい。
ps. ブログを書くために色々思い返しても、あんまり思い出せないことばっかりだ。もしかしたら嫌なことは全部忘れちゃってるのかもしれない。人間の脳みそはよくできているな。